対応可能:
吐口が河川区域・河川保全区域内に設けられる場合、下水道施設であると同時に「河川区域内の工作物」となり、河川法の許可と河川管理施設等構造令への適合が必要になります。当社では下水道基準に河川基準を併用した吐口の構造解析・設計に対応し、河川管理者との協議資料の作成から成果品の取りまとめまで一貫してお引き受けします。
「河川基準」とは(用語の整理)
下水道の実務では馴染みが薄いものの、河川区域に構造物を設けるときに適用される一連の基準・手続を、ここではまとめて「河川基準」と呼びます。要点は次のとおりです。
- 河川管理施設等構造令(構造令)
- 河川区域内に設ける施設・工作物の構造の技術基準を定めた政令。堤防・護岸・樋門樋管・水門などの構造要件(断面・天端高・しゃ水・継手等)を規定し、吐口もこの対象になり得ます。
- 河川砂防技術基準(設計編)
- 構造令を補う技術的な設計手引き。設計外力(計画高水位・計画高水流量)や洗掘・護岸の考え方を示します。
- 河川区域/河川保全区域
- 河川管理者が管理する区域。ここに工作物を新築・改築するには河川法第26条の許可が必要で、構造令適合が前提となります。
- 樋門・樋管(ひもん・ひかん)
- 堤防を横断して用排水を通す函渠(ボックス)構造。堤防を貫通する吐口・放流きょは、これに準じて設計するのが一般的です。軟弱地盤では柔構造樋門として、不同沈下に追随する基礎・可とう継手を用います。
なぜ下水道の吐口で河川基準が必要になるのか
処理場・ポンプ場の処理水(または雨水)を河川へ放流する吐口は、その多くが河川区域内または河川保全区域内に位置します。この場合、施設は下水道施設であると同時に河川区域内の工作物となり、下水道基準と河川基準の双方を満たす必要が生じます。とくに堤防を貫通・近接する構造は、堤防の安全性(浸透・変形)に直結するため、樋門・樋管に準じた要件が課されます。
適用基準(併用)
| 区分 | 主な適用基準・指針 |
| 下水道側 | 下水道施設の耐震対策指針と解説、下水道施設設計指針と解説 |
| 河川側 | 河川管理施設等構造令・同施行規則、河川砂防技術基準(設計編)、柔構造樋門 設計の手引き |
| 共通(耐震) | レベル1/レベル2地震動による耐震照査(応答変位法・動的解析) |
※ 実際の適用条項・要求水準は河川管理者との事前協議で確定します。一級河川は国土交通省、その他は都道府県等が管理者です。
河川基準で「追加」になる検討項目
下水道基準のみの場合に対し、河川基準を併用すると次の検討が追加されます。
| 項目 | 下水道基準のみ | 河川基準併用で追加 |
| 水位・水圧 | 常時内水位・地下水位 | 計画高水位(HWL)・設計外水位による外水圧・揚圧力 |
| 流体作用 | ― | 計画高水流量による流体力、流木・転石の衝撃 |
| 基礎・洗掘 | 支持力・沈下 | 局所洗掘深を見込んだ根入れ、護床工・根固め |
| 堤防との取り合い | ― | 堤体内浸透・しゃ水(しゃ水矢板・しゃ水壁)、可とう継手 |
| 縦断方向 | ― | 不同沈下に対する函体縦方向照査(柔構造樋門) |
| 付帯設備 | ― | 逆流防止(フラップ弁・ゲート) |
2つの代表的なタイプと設計の勘所
河川区域での吐口は、設置位置と堤防との関係で大きく2タイプに分かれ、それぞれ支配する外力と照査の重点が異なります。
堤防を横断して函渠で河川へ放流するタイプ。一級河川など堤防が大きい区間で多く見られます。
- 樋門・樋管に準拠(軟弱地盤は柔構造樋門)。
- 不同沈下に対する函体縦方向照査、可とう継手で変位を吸収。
- しゃ水工(矢板・壁)で堤体内浸透を遮断。
- 耐震は応答変位法(L1/L2)で継手の追随性を確認。
堤防のり面・河岸に開口して放流するタイプ。護岸構造と一体で設けます。
- 護岸・胸壁構造として構造令に適合。
- 支配外力は流体力・流木衝撃と洗掘。
- 吐口前面に護床工・根固めを配置し洗掘を抑制。
- のり面の安定・水たたきとの取り合いを照査。
構造イメージ(タイプA)
堤防を貫通する放流きょ(タイプA)。樋門・樋管に準じ、しゃ水・可とう継手・洗掘対策を併せて検討します。
想定荷重ケース(例)
| ケース | 状態 | 外水位 | 主たる支配作用 | 根拠 |
| C1 | 常時(平水) | 平水位 | 土圧・内水圧・自重 | 下水道 |
| C2 | 洪水時 | HWL | 外水圧・揚圧力・流体力・流木衝撃 | 河川 |
| C3 | 内水満水・渇水時 | 低水位 | 内水圧・浮力照査 | 下水道 |
| C4 | 地震時 L1 | 平水位 | 応答変位・慣性力(健全性) | 両基準 |
| C5 | 地震時 L2 | 平水位 | 応答変位・継手追随性(限界状態) | 両基準 |
進め方(標準フロー)
- 協議・条件確定 ― 河川管理者・下水道管理者と協議し、適用条項・外力(HWL・設計流量・地震動レベル)を確定。
- 荷重ケース統合 ― 下水道側(常時・地震時)に河川側(洪水時等)を加えた組合せを設定。
- 横断方向照査 ― 土圧・水圧・揚圧力・活荷重に対する函体の曲げ・せん断照査。
- 縦断方向照査 ― 不同沈下・継手変位の照査(軟弱地盤は柔構造樋門)。
- 耐震照査 ― 応答変位法/動的解析で L1(健全性)・L2(限界状態・継手追随)を照査。
- 付帯構造・取りまとめ ― しゃ水工・護床工・洗掘対策・逆流防止設備を検討し、計算書・図面・報告書を作成。
よくいただくご質問(FAQ)
河川管理者との協議資料の作成も対応できますか?
対応可能です。河川法第26条の許可申請に向けた協議資料の作成からお手伝いします。事前協議で適用条項・要求水準を整理したうえで設計を進めます。
一級河川・二級河川のいずれも対応できますか?
いずれも対応可能です。河川等級・管理者(国・都道府県等)に応じて適用基準を整理し、構造令・技術基準に適合させます。
樋門・樋管(柔構造樋門)の設計にも対応できますか?
対応可能です。堤防貫通型の放流きょは樋門・樋管に準拠し、軟弱地盤では柔構造樋門として不同沈下・可とう継手・しゃ水工を含めて設計します。
洪水時と地震時の両方を照査してもらえますか?
対応可能です。常時・洪水時(HWL・計画高水流量)に加え、レベル1/レベル2地震動の照査までを一つの荷重体系に統合して検討します。
河川区域の吐口設計はランドプラスへ
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