上下水道施設の耐震・補強設計専門
鉄筋コンクリート構造物を対象に、許容応力度法に基づく断面照査および設計支援を行います。 常時・施工時・地震時の荷重から生じるコンクリート圧縮応力度、鉄筋引張応力度、せん断応力度などが、 各設計基準で定められた許容応力度以下であることを確認するための、 実務に沿った技術整理ページです。
RC許容応力度法は、常時荷重、施工時荷重、地震時荷重などによって部材に発生する 曲げモーメント、せん断力、軸力を算定し、それにより生じる コンクリート圧縮応力度、鉄筋引張応力度、せん断応力度等が、 各設計基準で定められた許容応力度以下であることを確認する設計・照査方法です。
照査の基本判定は、次の不等式を満足することです。
ここに、σc:コンクリート圧縮応力度、σs:鉄筋引張応力度、τ:せん断応力度、 σca・σsa・τa:それぞれの許容値です。 許容値は、適用基準、コンクリート設計基準強度、鉄筋種別、荷重種別(常時/地震時)等に応じて設定されます。
当社では、土木構造物の RC 部材を対象に、許容応力度法に基づく断面照査および設計支援を行っています。 主な対応内容は以下のとおりです。
配水池、地下構造物、BOX 構造物、擁壁、基礎部材などの土木構造物における、 常時およびレベル1地震時の照査に対応可能です。
配水池・浄水池・調整池などの池状構造物。側壁、隔壁、頂版、底版の RC 断面照査。
BOX カルバート、共同溝、地下ピット。常時土圧、活荷重、L1地震時の組合せ。
逆T式擁壁、L型擁壁、フーチング、基礎梁、杭基礎の RC 断面照査。
既設構造物の現況断面性能確認、増設・補強時の照査、耐震診断の補助検討。
曲げ照査では、主に二つを確認します。 第一に、コンクリート圧縮側の応力度が許容値以下であること。 第二に、引張側鉄筋の応力度が許容値以下であることです。
単鉄筋矩形断面では、弾性理論に基づき、中立軸位置を求め、断面力の釣合と曲げモーメント釣合から 鉄筋応力度およびコンクリート応力度を算定します。複鉄筋断面や軸力を伴う断面では、 軸力 N と曲げ M を同時に考慮した断面力釣合により照査を行います。
せん断照査では、発生せん断力 V から平均せん断応力度 τ を算定し、許容値 τa 以下であることを確認します。 一般的な矩形断面では、次式によります。
ここに、V:発生せん断力、b:部材幅、d:有効高。 適用する設計基準に応じ、公称せん断応力度/平均せん断応力度の定義が異なるため、 採用する許容値・係数の整合に注意が必要です。
許容値を超える場合は、せん断補強鉄筋(スターラップ)の配置、断面寸法の見直し、配筋計画の変更、 もしくは構造形式自体の再検討が必要となります。 なお、旧版コンクリート標準示方書と道路橋示方書ではせん断応力度の表示方法が異なる場合があり、 実務では適用基準・年版・公称値/平均値の区別を明確にする必要があります。
照査作業では、設計条件・荷重条件・配筋条件を以下の項目で整理します。 整理段階での項目漏れが、後工程の手戻り要因となるため、当社では入力表として体系化しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 部材番号 | 例:B1、W1、Slab-1 など、解析モデルとの対応を明示 |
| 照査位置 | 端部、中央、支点部、隅角部など、断面力の極値となる位置 |
| 断面寸法 | 部材幅 b、部材高 h、有効高 d、外側/内側のかぶり |
| 材料条件 | コンクリート設計基準強度、鉄筋種別(SD295/SD345 等) |
| 配筋条件 | 主鉄筋径・本数・段数・位置、スターラップ径・間隔 |
| 断面力 | 曲げモーメント M、軸力 N、せん断力 V |
| 荷重ケース | 常時、L1地震時、施工時、満水・空水等の組合せ |
| 許容値 | σca、σsa、τa(適用基準に基づく) |
| 判定 | OK / NG、NG 時の超過率・要因区分 |
当社では、解析結果から照査断面を抽出し、部材ごとの曲げ・せん断・軸力を整理したうえで、 設計基準に沿った照査表としてまとめます。発注者・第三者照査者にとって読みやすい構成を標準としています。
| 部材 | 位置 | Case | M (kN·m) |
N (kN) |
V (kN) |
σc | σca | 判定 | σs | σsa | 判定 | τ | τa | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| W1 | 格点1 | 常時 | 82.0 | 191.0 | — | 2.6 | 8.0 | OK | 57.0 | 180.0 | OK | — | — | — |
| W1 | 格点5 | 常時 | 55.5 | 208.1 | — | 1.6 | 8.0 | OK | 19.5 | 180.0 | OK | — | — | — |
| W1 | 格点10 | 常時 | -2.4 | 200.1 | — | 0.3 | 8.0 | OK | -4.2 | 180.0 | OK | — | — | — |
※ 上表は出力フォーマットの一例です。数値は説明用のサンプルであり、実プロジェクトの値ではありません。 実プロジェクトでは、Case 別・格点別・部材別に M, N, V と σc, σs, τ を整理し、判定の根拠を明示します。
NG 判定となる箇所については、次の項目を追加で整理し、対策方針の根拠とします。
許容応力度法では、計算式の適用以前に、設計条件の整理段階で技術的判断が必要な項目が多くあります。 当社では、以下を作業上の確認事項としています。
| 確認項目 | 内容 | 実務上の留意点 |
|---|---|---|
| 適用基準 | 対象構造物の根拠基準・年版を明示 | 水道、道路橋、擁壁等で σca・σsa が異なる |
| 荷重組合せ | 常時、L1地震時、施工時、満水/空水 | 許容値の割増しの有無を Case ごとに整理 |
| 断面力の符号 | M の正負・引張側鉄筋の判定 | 引張側を誤ると σs が逆転する |
| 有効高 d | 外側・内側のかぶり、二段配筋の重心 | 引張側が外面か内面かにより d が変わる |
| 照査位置 | 端部、中央、支点、隅角部、定着部 | 解析格点と照査断面の対応を明確化 |
| 中立軸位置 x | 軸力 N の有無で大きく変化 | N が大きい場合の中立軸の安定性に注意 |
実際のプロジェクトでは、単に「RC許容応力度法」と総称するのではなく、 適用基準・年版・対象構造物の種類を明示することを標準としています。
適用基準を明示することで、発注者および第三者照査者が許容値・荷重組合せ・係数の根拠を 参照しやすくなり、協議・指摘対応もスムーズに進められます。
第三者照査や発注者説明に対応できるよう、当社の照査成果では以下を明確に整理します。
照査表・計算書・報告書は、構造形式や設計フェーズに応じてフォーマットを調整し、 設計協議・成果品検査・第三者照査を見据えた構成で提出します。
下記の計算機では、断面寸法、配筋、断面力(M, N)、許容値 を入力することで、 中立軸位置 X、引張主鉄筋比 Pt、コンクリート応力度 σc、鉄筋応力度 σs を算定し、OK / NG を表示します。
VBA の F_Rc_t 相当のロジック(弾性係数比 n を用いた中立軸収束計算)により、 単鉄筋・複鉄筋・軸力併用の RC 矩形断面に対応しています。
※ 本計算機は技術説明用の簡易試算です。実施設計では、適用基準・荷重組合せ・許容値の割増し・ 断面力の符号・引張側の判定・解析モデルとの整合を、プロジェクトごとに必ず確認してください。