下水道施設の耐震対策指針と解説 2025年版の改定ポイントと設計実務への影響 | LANDPLUS.WORK
耐震解析 技術資料

下水道施設の耐震対策指針と解説
2025年版の改定ポイントと設計実務への影響

2014年版から約10年ぶりの大改定。能登半島地震の教訓を踏まえた要求機能の見直し、タイプ1地震動の考慮義務化、地域別補正係数の導入など、設計実務に直結する変更点を設計会社・発注者向けに解説します。

2025年版への改定ポイントは分かったが、社内の計算書をどこまで更新すればよいか、差分の範囲が整理できていない
タイプ1地震動の設定方法や地域別補正係数の算定根拠を、社内で担当できる技術者が不足している
能登半島地震を踏まえた「急所管路」の優先度見直しについて、発注者への説明資料をどう準備すればよいか分からない
この記事で分かること
  • 2025年版指針の主な改定ポイント(タイプ1地震動・地域別補正係数・管路優先度)が具体的に分かる
  • 能登半島地震を踏まえた要求機能の見直しが、設計実務にどう影響するかが分かる
  • 設計会社が直面しやすい課題と、ランドプラスに外注できる対応範囲が分かる

なぜ2025年版への改定が必要だったのか

公益社団法人日本下水道協会が発行する「下水道施設の耐震対策指針と解説」は、2014年版から約10年ぶりに2025年版へと全面改定されました。改定の背景は大きく2点あります。第1は、道路橋示方書(2017年改定)をはじめとする関連インフラ設計指針の相次ぐ改定です。地震動の設定方法・設計応答速度の算定手法・地盤応答の評価手法が他指針と乖離していたため、整合化が強く求められていました。

第2のきっかけは、令和6年(2024年)能登半島地震による甚大な被害です。石川県能登地方では下水道管路・マンホールが広域にわたって損傷し、避難所への排水機能が長期間停止する深刻な事態が発生しました。この経験から、「どの管路を最優先で耐震化すべきか」という施設の優先度に関する考え方が抜本的に見直され、2025年版に反映されています。

発行元・適用対象

「下水道施設の耐震対策指針と解説 — 2025年版」は公益社団法人日本下水道協会が発行する国内最高位の下水道耐震設計基準書です。管路施設(管本体・マンホール)、BOXカルバート、処理場施設などを対象に、L1・L2両レベルの耐震性能確保に関わる技術的事項を体系的に定めています。2025年版は「下水道の地震対策マニュアル — 2025年版」とあわせて発刊されており、設計と維持管理の双方をカバーします。

2025年版の主な改定ポイント

2025年版では、設計実務に直結する改定が3つのカテゴリに整理されています。①地震動設定方法の変更、②施設の要求機能・優先度の見直し、③耐津波性能評価の体系整理です。以下の表に主要な改定項目とその実務上の影響をまとめます。

改定項目 2014年版 2025年版 実務上の主な影響
タイプ1地震動 L2照査はタイプ2地震動が主体 タイプ1地震動の考慮を明記 広域地震への対応が必要。設計応答速度の算定条件が変化
地域別補正係数α 設計応答速度への地域補正なし 地域別補正係数αを設計応答速度に乗じることが明記 地域ごとに設計入力値が変化。計算書の地震動設定部を要更新
管路優先度の再定義 施設重要度に基づく一律的な優先順位 「急所」管路・避難所接続管路を最優先カテゴリに位置づけ 耐震化整備計画・設計順序の見直しが求められる
耐津波性能の体系化 個別規定として分散して記載 耐震性能と並列した性能設計として体系を整理 沿岸部施設の照査フローが変化。津波時の機能確認が必要

タイプ1地震動の考慮とは何か

タイプ1地震動とは、プレート境界型の大規模地震(東海・南海トラフ型など)に代表される、長周期成分が卓越した地震動です。従来のL2照査ではタイプ2(内陸活断層型)が主体でしたが、2025年版ではタイプ1も明示的に考慮することが求められます。設計上は、短周期主体のタイプ2に加えて長周期側の応答スペクトルでも照査を行い、両者の包絡値を設計地震動として採用する必要があります。内陸活断層から離れた沿岸部や平野部に位置する管路施設では、タイプ1が支配的になるケースがあります。

2025年版指針への対応方針について、まずはご相談ください 施設種別・設置地域・既往計算書の状況をお知らせいただければ、2025年版対応で必要な確認項目と対応範囲をご提案します。
無料相談はこちら

設計会社が直面しやすい5つの課題

よくある課題
2014年版で作成した既往計算書がどの範囲まで2025年版対応に影響するか、差分の整理・判断ができていない
タイプ1地震動の設定根拠の整理や、地域別補正係数αの算定を担当できる技術者が社内に不足している
能登半島地震を踏まえた「急所管路」の優先度再定義について、発注者への説明資料をどう用意すればよいか分からない
更生管・マンホール・BOXカルバートなど施設種別ごとに対応する計算手順が異なり、一度に社内対応できる工数が足りない
2025年版指針に対応した計算書の作成実績を持つ外注先が見当たらず、品質・納期の両面で不安がある

設計実務が変わる具体的な確認ポイント

2025年版の適用タイミング

令和7年(2025年)度以降に発注される新規設計業務は、原則として2025年版を適用します。継続中の業務については発注者との協議によりますが、既往計算書の更新を求められるケースが増えています。2014年版と2025年版は別基準として区別されており、計算書の適用指針バージョンを明記する必要があります。

2025年版対応の確認フロー

既往計算書の更新や新規設計で2025年版に対応する際は、以下の4ステップで必要な検討範囲を整理することを推奨します。

  • 01
    設計地域の地域別補正係数αを確認する

    設計対象施設の所在地に対応する地域別補正係数αの値を確認し、2014年版との差分を把握します。αの値によっては設計応答速度が大きく変わるため、最初に確認すべき項目です。

  • 02
    タイプ1・タイプ2 両地震動を設定し包絡を確認する

    タイプ1(プレート境界型)とタイプ2(内陸活断層型)それぞれについて設計応答速度を算定し、両タイプの包絡値を設計地震動として採用します。どちらが支配的かは施設の地域・地盤条件によります。

  • 03
    施設の優先度カテゴリを発注者と確認する

    設計対象管路が「急所」管路・避難所接続管路に該当するかを発注者と確認します。2025年版では優先度カテゴリによって要求機能のレベルが異なるため、設計条件の設定に影響します。

  • 04
    施設種別ごとの計算書更新範囲を特定し照査を実施する

    管本体・マンホール・BOXカルバート・更生管など対象施設種別ごとに変更箇所を特定し、地震動設定部分を中心に計算書を改訂します。照査結果を再整理して報告書に反映します。

施設種別ごとの主な計算上の変化点

施設種別 主な変化点 留意事項
管本体(下水道管) 設計応答速度の算定に地域別補正係数αを乗じた値を使用 地域によっては照査結果が2014年版と大きく変わる場合あり
マンホール タイプ1地震動時の液状化判定の追加、浮上防止検討の見直し 液状化判定が新たに必要となるケースあり。組立マンホールも対象
BOXカルバート タイプ1・タイプ2の包絡照査(横断・縦断両方向) 設計断面が変わる可能性があるため早めの確認を推奨
更生管 「更生管の計算」が2025年版対応の新バージョンへ移行が必要 旧バージョンの計算書は2025年版対応とみなされないため要注意

ランドプラスが対応できる範囲

下水道施設の2025年版指針対応業務について、設計条件の整理から計算書作成・発注者説明資料の作成まで一貫して対応します。2014年版計算書の差分更新にも対応可能です。

対象施設
管路施設(管本体・推進管)、マンホール(組立含む)、BOXカルバート(横断・縦断)、更生管
指針対応
2025年版指針に基づくL1・L2耐震計算書の作成・照査(液状化判定・マンホール浮上防止含む)
地震動設定
タイプ1・タイプ2地震動の設定根拠整理、地域別補正係数αの算定・整理
計算書更新
2014年版の既往計算書を2025年版仕様に差分更新。変更箇所の整理・比較表の作成も対応
説明資料
改定ポイントの発注者向け説明資料、計算根拠の可視化資料(応答スペクトル図・一覧表)の作成
報告書作成
解析条件・照査結果・補強方針をまとめた技術報告書(第三者照査対応形式)の一式作成

成果品の具体例

ご依頼いただいた業務の範囲に応じて、以下の成果品を整理・納品します。発注者への提出形式・記載水準のご要望にも柔軟に対応します。

耐震計算書(2025年版準拠)
設計地震動設定根拠資料
タイプ1・タイプ2 応答スペクトル図
地域別補正係数α 算定表
液状化判定計算書
マンホール浮上防止検討書
照査結果一覧表(L1・L2)
発注者説明資料(改定差分整理)
施設種別・設置地域・計算書の現状をお知らせください 更生管・マンホール・BOXカルバートなど対象施設と検討目的をお伝えいただければ、2025年版対応の対応範囲と概算スケジュールをご提案します。
お問い合わせはこちら
Free Consultation · お問い合わせ

2025年版指針対応の耐震計算書、一式お任せください

施設種別・設置地域・規模・スケジュールをお知らせください。タイプ1地震動の設定から照査・報告書作成まで、2025年版指針に準拠した一貫対応が可能です。