上下水道施設の耐震・補強設計専門
地下構造物の FEM 解析で最も重要なのは、メッシュを細かくすることではなく、地盤と構造物の相互作用をどの粒度で表現するかを決めることだ。良い FEM 解析とは、「どの現象を取り、どの現象を切ったか」を説明できる解析である。
逆に、形状が整形で設計条件が明快な案件では、FEM より先に簡便法で全体像を掴んだ方がよい場合も多い。
構造物だけを単独で切り出すのか、周辺地盤を含めるのかで結果の性格が変わる。どこからどこまでを 1 つの連成系として扱うかを先に決める。
地盤を線形で置くか弾塑性で置くか、接触面に滑りや剥離を許すかで応答は大きく変わる。弾塑性体として扱うことで、水平動が上下応答や動土圧を誘発する現象を評価できる。
境界の取り方は解析結果を直接支配する。モデル端部が近すぎれば拘束過大、遠すぎれば計算負荷だけ増える。吸収境界・等価境界の採用可否を目的に応じて設定する。
自由地盤応答をどう取り込むか、基盤入力か有効入力か時刻歴入力かで解析の意味が変わる。ここを構造解析ソフトの都合で決めてはいけない。
地下構造物の耐震応答は、構造物単独の慣性より、周辺地盤の変形追随と拘束効果に支配される場面が多い。FEM は「構造物を精密化する」道具というより、「地盤と構造物のやり取りを可視化する」道具として使う方が本質に近い。
完全付着とするか、滑りや開離を認めるかで、せん断力分布や局所曲げが変わる。接触面条件はデフォルト設定で流してはいけない。
2 次元 FEM は有効だが、立体的な拘束・ねじれ・交差部・段差・開口の影響が支配的な場合は 3 次元化を検討すべきである。3 次元でなければならないのではなく、2 次元化の前提を説明できるかどうかが判断基準になる。
| 誤りのパターン | リスク |
|---|---|
| メッシュだけを細かくして満足する | 境界条件・材料則の不備が隠れる |
| 地盤定数を既往資料から機械的に転記する | 現地条件との乖離が応答に効く |
| 接触面条件をデフォルトのままにする | せん断・局所曲げの評価が誤る |
| 最大主応力だけ見て断面照査への落とし込みがない | 設計判断に接続できない |
| 時刻歴結果を出したのに静的照査に接続していない | 解析結果が設計に反映されない |
FEM を回す前に、必ず次の問いに答える。
この 4 つが曖昧なら、解析は始めない方がよい。