上下水道施設の耐震・補強設計専門
浄水場・配水池等の池状RC構造物を対象に、設計条件整理から地盤応答変位・動水圧算定・ 骨組みモデル構築・断面照査まで、応答変位法の実務フローを解説します。
池状構造物は側壁・中壁・底版・頂版等で構成される箱型のRC構造物です。 地中埋設の場合、構造物慣性力だけでなく地盤応答変位・地盤ばね・土圧・動水圧を 組み合わせて評価する必要があります。 本計算例では断面A-Aを検討対象とし、平面骨組みモデルで応答変位法による照査を実施します。
構造物重量に設計水平震度を乗じて算定。L1・L2で震度の考え方が異なります。
表層地盤の固有周期・せん断波速度から深度方向の変位分布を算定。応答変位法の核心的な入力条件です。
水深・設計水平震度・水槽長をもとにHousner式で算定。壁体への付加水平作用として設定します。
構造寸法・地盤条件・土被り・内水条件・材料強度・配筋を確認します。
N値からVsを算定し、表層地盤の固有周期TGを求めます。
設計水平震度・地盤応答変位・躯体慣性力・地震時動水圧を算定します。
側壁・中壁・底版・頂版を梁要素でモデル化し、地盤ばね・強制変位を設定します。
全断面有効として断面力を算定し、許容応力度法で安全性を確認します。
剛性低下・曲げ破壊モード・せん断耐力・靱性を含めて安全性を評価します。
表層地盤厚 H = 15.5 m、N値 = 15 として弾性波速度とTGを算定します。
| 区分 | 地盤面 | 基盤面 | 躯体重心位置 |
|---|---|---|---|
| L1地震動 | Kh01 = 0.25 | K'h01 = 0.15 | Kh1w = 0.19 |
| L2地震動 | Kh2 = 0.80 | K'h2 = 0.50 | Kh2w = 0.63 |
上載荷重 1.0 tf/m²、土圧係数 K0 = 0.5、単位体積重量 γ = 1.8 tf/m³
水深 h2 = 11.7 m、γw = 1.0 tf/m³ として三角形分布で考慮
コンクリート fck = 210 kgf/cm²、鉄筋 SD345(fyk = 3,500 kgf/cm²)
地盤ばねを介して構造物に強制変位として入力します。 基盤面(節点18)を基準とした相対変位を使用します。
| 位置 | 深さ x (m) | L1 応答変位 (cm) | L2 応答変位 (cm) | L1 相対変位 Di | L2 相対変位 Di |
|---|---|---|---|---|---|
| 節点1(上部) | 1.3 | 0.90 | 4.12 | 0.85 | 3.87 |
| 節点6 | 5.4 | 0.78 | 3.55 | 0.72 | 3.30 |
| 節点11 | 9.8 | 0.50 | 2.27 | 0.44 | 2.02 |
| 節点16 | 14.3 | 0.11 | 0.50 | 0.06 | 0.25 |
| 節点18(基盤) | 15.5 | 0.00 | 0.00 | 0.00 | 0.00 |
| 水面からの深さ y (m) | 0.0 | 3.3 | 6.0 | 9.5 | 11.7(底版) |
|---|---|---|---|---|---|
| L1 動水圧 (tf/m²) | 0.00 | 0.90 | 1.42 | 1.80 | 1.87 |
| L2 動水圧 (tf/m²) | 0.00 | 3.00 | 4.72 | 5.97 | 6.18 |
水平・鉛直それぞれの地盤反力係数を算定し、各節点の分担面積を乗じて 地盤ばね定数 KHi を設定します。
各節点の水平地盤ばね KHi = Ai × KH により算定。Ai は各節点が受け持つ壁面分担面積です。地盤ばねを介して強制変位(相対変位 Di)を入力することで、地盤応答変位の影響を骨組み解析に組み込みます。
L1地震時は全断面有効として解析を行い、許容応力度法により安全性を確認します。
| 項目 | 許容値 |
|---|---|
| 鉄筋 許容引張・圧縮応力度 σsa | 2,000 kgf/cm² |
| コンクリート 許容圧縮応力度 σca | 80 kgf/cm² |
| コンクリート 許容せん断応力度 τca | 2.80 kgf/cm² |
| 断面 | M (tf·m) | V (tf) | σc (kgf/cm²) | σs (kgf/cm²) | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1(側壁上部) | 52.0 | 39.2 | 40 | 1,871 | OK |
| 5(中壁) | 50.0 | 21.0 | 53 | 2,367 | OK |
| 8(底版) | 178.9 | 104.1 | 101 | 2,745 | OK |
| 10(側壁下部) | 69.6 | 39.0 | 81 | 766 | OK |
全断面で発生応力度が許容応力度以内であり、地震動レベル1に対する安全性が確認されます。
L2地震時は降伏変位を超えることを許容し、剛性低下・曲げ破壊モード・せん断耐力・靱性を 含めた照査を実施します。
| 断面 | Vyd / Vmu | 破壊モード | 靱性判定 |
|---|---|---|---|
| 1(側壁上部) | 2.29 | 曲げ破壊 | OK |
| 2(側壁下部) | 3.44 | 曲げ破壊 | OK |
| 5(中壁) | 3.32 | 曲げ破壊 | OK |
| 7(頂版端部) | 2.30 | 曲げ破壊 | OK |
| 8(底版) | 2.21 | 曲げ破壊 | OK |
全部材で曲げ破壊モードとなり、Vyd/Vmuは全断面で2.0以上を確認。靱性の検討もすべて満足し、地震動レベル2に対する安全性が確認されます。
地盤条件・内水位・土被り・配筋条件を正確に整理することが照査精度の前提。荷重条件の設定精度が結果に大きく影響します。
躯体慣性力だけでなく、地盤応答変位と内水動水圧が池状構造物の照査を左右します。設定根拠の整理が重要です。
L1は許容応力度法、L2は剛性低下・破壊モード・靱性を含む照査。要求性能の定義から始めることが重要です。
施設名・構造種別・スケジュール感をお知らせいただければ、対応可否と概算費用を素早くご回答します。